Story.01
陶磁器メーカー・ノリタケ本社の隣にあり、緑豊かなノリタケの森。 歴史を感じさせる赤レンガの壁や煙突、ピクニックに最適な美しい芝生に、オシャレなカフェやレストラン、都心であることを忘れてしまいそうなビオトープなどなど、どこをまわっても楽しめる施設です。しかし、今回は自然ではなく、ノリタケの陶磁器の歴史やアート性に注目。ココでしか味わえない本当に面白いノリタケの森、教えちゃいます!
ノリタケの森【知られざる産業遺産&絵付け体験】
ノリタケの森を遊びつくす!
クラフトセンターで新たな魅力を発見!
近所に住んでいたので、何度も行ったことのある「ノリタケの森」。天気の良い日は、子どもたちと煙突ひろばで弁当を広げ、大人だけで集まればお洒落なレストランでランチ…。それだけで知った気になっていましたが、今となってはお恥ずかしい限り。
本当に面白いノリタケはクラフトセンターにあったのです!
待ち合わせはウエルカムセンター。運営・企画グループの鈴川さんと広報室の鎭西さんにごあいさつ。その後、ノリタケの森を紹介するビデオ映像(約7分)を視聴して、ざっと歴史を知ります。ここまでは「なるほどなるほど」という程度ですが、実はココでノリタケの歴史を理解したかどうかで、その後の面白さがぐんと違ってきます。
クラフトセンターに移動。入館料が500円かかるので全くノーマークだった場所です。ココは、ノリタケ「ボーンチャイナ」の製造工場。「ボーンチャイナ」とは、原料に牛骨灰を加えた磁器で、土が原料の陶器とは全く違う風合いを持ちます。1階では原型製作からはじまり、生地を流し込み、釉焼きまで製造の流れを見学。「型から出したのに、つなぎ目がない!」と感心していると、作業をしていた職人さんが「こうやっているんですよ」とヘラで面をならす様子や磨く様子を見せてくれました。
2Fでは、素描(ハンドペインティング)や印刷したシート(転写紙)で「絵付け」をする様子や皿やカップの縁に金線を描く「金仕上げ」など、熟練の技を間近で見ることができます。2015年に天皇皇后両陛下が御視察された際には、それぞれの持つ高い技術に大いに感心され、お言葉をかけていただいたそうですよ。
精緻に描かれた当時の画帖に感動しきり
個人的にとても楽しかったのは3F・4Fにあるミュージアム。4Fは、いかにして海外で認められていったのか、苦難と努力の証がわかる展示になっています。ここには創始者・森村市左衛門をはじめとする“森村組”のプロジェクトXが詰まっているんですね。
ざっと説明すると、東京に会社を設立してNYに輸入雑貨を開いた市左衛門は、陶磁器の将来性に確信を持つようになりました。そこで「アメリカ人の好みに合わせた商品展開をしなくてはならない」と、日本人絵師をN.Yに派遣し、その時々の流行を盛り込んだデザイン画を描かせたのだそう。その画帖はココで見ることができるのですが、そりゃあ見事なこと!
そしてデザイン画は日本の画工たちに送られたわけですが、その仕上がりも、デザイン画と寸分違わぬ出来栄え。本物を追求する真剣な思いが伝わってきて、もう、ため息しか漏れません。
3Fは世界情勢に合わせてデザインが変遷していく様子を見ると同時に、いろんなディナーセットが並んでいて、こちらも十分楽しめます。「このお皿にどんな料理がのっていたのかな」「どんなお宅で使われていたのかな」と考えるだけで、妄想家にはたまりません。
いつの間にか夢中になってる「絵付け体験」
さて、相当興奮してからの「絵付け体験」であります。真っ白なボーンチャイナにペイントするお楽しみコーナーで、この日はカップルが多かったですね。マグカップやプレート、置物など形もさまざま。絵が苦手な方には下絵の入った塗り絵タイプもあります。
絵付けをするにあたっては、事前に描きたいデザインを紙に描いておくのがいいかも。なくても、サンプル帖を貸してもらえますが、せっかくですからネ。陶磁器用の絵の具は、焼くと違う色になるので色見本を見ながら描きます。ボールペンで下絵も描けるのですが、直接描いていくことにしました(性格が出ます)。
最初はあーだこーだ言っていても、だんだん口数が減っていきます。手先の作業というのは、どんどん集中していくものですね。職人さんを真似て、同じ幅で塗ろうと思ったのですが、全然ダメ。ムラになるわ、デコボコしてるわ、で難しさを実感…。でも、いいじゃないですか。ビックリするほど素晴らしい作品はプロにお任せするとして、楽しい体験ができてよかった!出来上がりは1~2週間で自宅へお届け。そちらも楽しみです♥